--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2016-03-30

硬式の不振はソフトテニスのせいか

先日、下記のような新聞記事を目にした。


錦織圭選手に続く選手たちの登場が妨げられている要因を考察したものなのだが、以下に全文を(無断で)転載したので、少し長いがまずはお読みいただきたい。

============================

硬式テニス部ある中学校は1割…錦織人気の陰で後進に壁
(朝日新聞デジタル 2016年3月17日05時32分)


 錦織圭選手(日清食品)の活躍に刺激され、テニス人気は上昇中。でも、錦織選手と同じように世界で羽ばたくのを夢見る少年少女の行く手に「空白の3年間」が横たわる。いったい、どんな問題なのか。

 小学生までは民間クラブでテニスに親しんでいても、テニス部(硬式)のある中学校は全国で約1割しかない。このため中学進学を機にやめてしまい、中学時代の3年間に伸びるチャンスを奪われるケースが多いのだ。

 テニス部が少ない背景の一つに、日本中学校体育連盟に加盟していない点がある。加盟するための条件は「全国9地域のブロックのうち、6地域で認められていること」。テニスは現在、北海道、近畿、四国、九州の四つにとどまる。

 実は、日本中体連に加盟している競技は計19もあるが、1981年以降、一つも増えていない。平手陽事務局長に聞くと、「テニスに限らず新規参入の扉を閉ざしているわけではない。全国大会は各地域が順番で開催してきた歴史があり、現場の指導者が足りない地域だと大会運営が難しい。そうした理由から6地域以上の加盟を新規加入の条件にしている」と説明する。

 さらに日本テニス協会は98年から日本中体連に全国中学校体育大会(全中)でのテニス採用を働きかけてきたが、「全中で実施されないから創部が進まない。高校以降も生涯スポーツとして人気は高いのに」と鈴木宏事務局長は嘆く。全国高等学校体育連盟の今年度の登録数を見ると、テニスは10万7965人で、サッカー、バスケットボール、バドミントン、陸上に次いで多い。競技人口が足りないわけではない。

 テニス部が増えない理由の一つに、日本発祥のソフトテニスの存在が考えられる。19世紀末、フェルトで覆うテニスボールの国産が難しく、輸入品が高価だった時代に、安く手に入るゴムボールを使ったテニスが普及し、今に至っている。世界のトッププロが巨額の賞金を稼ぎ、五輪でも実施されるテニスと比べるとマイナー競技に感じられるが、全国の中学校で部があるのは男子が52・2%、女子66・8%と高く、日本中体連にも加盟している。

 それに部活の創設は校長の裁量に委ねられている。学校の敷地内にテニスコートの面数が限られる場合、ソフトテニスと譲り合う調整が必要になり、テニス部新設の動きは加速しない。

 テニス界の危機感は強い。日本テニス協会が3年前にまとめた調査によると、2008年までの13年間で、テニスコートの面数は約4分の3に減った。固定資産税や地代が経営を圧迫。さらには経営者が世代交代をするとき、相続税を納めるために土地を処分せざるをえず、閉鎖に追い込まれる事例が多いからだ。

 一方、同じ調査では、テニススクールに通う生徒の約1割が10歳未満というデータが出た。全米オープン準優勝、世界ランクも最高4位まで上昇した錦織選手は、中央調査社が昨年発表した「最も好きなスポーツ選手」で1位になった。スターが誕生すれば、競技への注目度は高まる。

 日本テニス協会は内閣府に対し、全中での公式種目採用を求める請願書を出し、国の後押しを期待する。中国ブロックで条件が整いつつあり、東海ブロックでも前向きな動きがある。日本テニス協会の内山勝専務理事は「一日も早く、扉が開くのを切望している。中学生世代の空白が埋まれば競技人口が増えて裾野が広がり、錦織選手に続くような世界的なプレーヤーが出てくる夢も広がる」と期待している。(編集委員・稲垣康介)

============================


上記の記事の趣旨を一言で言うと、

“小学生まで民間クラブで(硬式)テニスを習得してきても、中学校の1割にしか(硬式)テニス部がないので、伸びる機会が奪われている”

というものであり、その理由として、

 1、(硬式)テニスという競技が中体連に加盟していない
 2、多くの中学校にソフトテニス部(中体連加盟競技)が存在している

の2点が挙げられているのである。


つまり、「ソフトテニス部があるから、(硬式)テニス部が新設されないのであり、だから錦織選手に続く選手が生まれないのだ」と言わんばかりである。


この認識はある意味間違いである。錦織選手は早い段階でアメリカにテニス留学しており、中学校の(硬式)テニス部で育ったわけではない。


また、現在の日本の(硬式)トッププレーヤーもほぼ錦織選手と同様の境遇であり、中学校の(硬式)テニス部を本拠地にしているような選手は少ないはずである。


さらに考えられるのは、現在の中学校ではテニス部に限らず、部活動の顧問をやりたがらない先生が増えているという点であり、実はこちらの影響のほうが大きいのではないかと思う。


このように、この記事はあまりに表層的な部分しか見ていないように思う。特に(硬式)テニス部が増えないのを、ソフトテニスのせいにするのはあまりにも短絡的であると言わざるをえない。


ソフトテニスの関係者で、この記事を読んで怒る人は多いだろうと思う。小生も決して愉快ではないが、しかし、この記事にただ怒るだけではあまりに能がなく、この記事を書いた記者と同じ浅いレベルにとどまってしまうような気がする。


この記事をもう一度冷静に読むと、次のようなことがわかる。


 1、(硬式)テニスの中体連加盟の動きが出てきている。
   (中国ブロック、東海ブロックが認めれば加盟の可能性あり)

 2、(硬式)テニスが中体連に加盟すると、コート数が豊富でない学校の
   場合は、テニス部が硬式かソフトかどちらかになる可能性がある。


(硬式)テニス界は、内閣府に請願書を出すなど活発な働きかけをしており、その結果、中体連加盟が決まった場合、(硬式)テニス部新設の動きが加速する可能性があるということだ。


そして、コート数が少ない学校では、硬式とソフトを共存させられないため、「来年からソフトテニス部を廃止して(硬式)テニス部を新設する」といった動きも出てくるかもしれないということなのだ。


ソフトテニス関係者は、とかく(硬式)テニスを毛嫌いし、敵視する傾向にあるが、小生はそういう感情は持っていない。


そもそもソフトテニスはこれまで、(硬式)テニスブームのおかげで発展してきたといっても過言ではないと思っている。


小生自身がそうだったのだが、小学生のころテレビで(硬式)テニスの試合を見て、中学に入ったらテニス部に入ろうと思い、入ってみたらそこで行われていたのは軟式だった、ということは、かなり多くの人が経験していると思う。軟式がメディアで取り上げられる機会が少ないためか、テニスに硬式と軟式があるということは案外知られていないのだ。


古くは「エースをねらえ!」、その後の「テニスの王子様」、そして最近の錦織圭と、テニスブームは定期的に訪れているが、そのたびにテニスを志す少年少女の受け皿となってきたのが、中学校のソフトテニス部なのだ。


その少年少女は、ソフトテニスをやっているうちに、それが自分のイメージしていたテニスとは違うことに気がつくのだ。自分がやりたかったのはこんな(ソフト)テニスではなかった、とやめてしまう者もたくさんいるだろうが、ソフトテニス界はそのことに対して、これまで特に危機感は持っていなかっただろうと思う。


なぜなら、ソフトテニスは中体連加盟競技であり、(硬式)テニスはそうでないからである。ソフトテニスをやめた者が(硬式)テニスをやりたいと思っても、ほとんどの中学校には(硬式)テニス部はないため、彼らが硬式に流れてしまう心配はないのだ。
これまでソフトテニス界はそのことに“あぐら”をかいてきたのだと言える。


上記の記事では、「テニス界の危機感は強い」とあるが、いま本当に危機感を抱く必要があるのはソフトテニス界のほうであると思う。


最も悲観的なシナリオは、


 (硬式)テニスが中体連に加盟

  ↓

 全国の中学校のソフトテニス部が廃止され、(硬式)テニス部が新設

  ↓

 ソフトテニス人口が激減し、裾野が狭くなる

  ↓

 国内での競技レベルも低下し、国際大会における地位も低下
 


ということになるのかもしれないが、実は小生はそれほど心配していない。


ソフトテニスには、現在のプレーヤー以外にも、過去にプレーしていた人たちが無数、とは言わないまでも相当数存在するはずである。その多数の経験者たちが、自分の子どもをはじめ、次の世代にソフトテニスの魅力を説いて、ソフトテニスの世界に導いてくれればよいのである。


そして、その子どもたちが、また次の世代にこの競技を伝えていってくれるという“連鎖”が生まれれば、この競技の将来は決して悲観するようなものではないのだと信じたい。


そのためには、ジュニア世代に「ソフトテニスをやっててよかった」と思える体験をいかに提供できるかが重要になってくると思う。某高校で3年間の部活を終えたある生徒が、「もう二度とソフトテニスなんてしたくない」と言ったという悲しい話を聞いたことがあるが、それは指導者や顧問の何かがいびつだったのだろうと思う。


また、ソフトテニス関係者ではない一般の人たちから、「ソフトテニスはマナーが悪い」とか、「ウェアがダサい」などと後ろ指を差されたりしてしまうと、ソフトテニスへの愛着が一気に冷めてしまう可能性もあり、そういう意味でも小生は、常日頃からこの競技の“品格”を高めていきたいと考えているのである。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://whoyouknowanata.blog22.fc2.com/tb.php/372-933490e6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) 軟式庭球研究所. All rights reserved. Template by Underground
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。