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2015-12-29

軟式庭球の見方(下)

前回に引き続き、昔のインドア大会プログラムに記載のあった「軟式庭球の見方」を紹介する。

軟式庭球の見方2

上の画像は、1984(昭和59)年1月に開催された「東京インドア」のプログラムにおける「軟式庭球の見方」である。
ここでは「ゲームの仕方」「ゲームのみどころ」「審判」「コートマナー」「コート」「ネット」「ボール」「ラケット」「服装」と、9つの項目について書かれており、特に用具・用品に関する部分は、初めて軟式庭球を観戦する人を対象にしたと思われる、極めて基本的な解説になっている。


今回はこの中から「軟式庭球の見方」として最も重要な「ゲームの見どころ」の部分を全文転載する。

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ゲームのみどころ

軟式庭球の一番の魅力はラリー(球の打合い)が続くこと、前後衛のコンビネーションの妙味にあります。後衛が相手の前衛をよく牽制し強く緩く高く小さく打ち、そのわずかなすきをみて前衛がスマッシングするなどテニスの醍醐味であります。ただネットしたりアウトしたことのみで一喜一憂するのでは興味は半減します。すなわち味方の前衛が邪魔になったとか、後衛が強いショットを打ち込んだとかの原因があります。上手な選手は2本も3本も前からチャンスを狙ってラリーを続けるものです。将棋の名人が何手もさきの手を読むのと同じですが、テニスでは相手のボールを見て直ちに次の手を考え瞬間的に打ち込まねばなりません。バレーボールのようにレシーブ、トス、アタックの時間もなく、バスケットボールのようにボールを持っておくこともできません。この点テニスは磨きすました神経と絶妙のコントロールが必要とされますが、このコントロールは正確な基礎技術が必要です。フットワークやグリップが悪かったり、腰の位置と打球がアンバランスであってはパートナーと観衆を失望させるだけです。しかし軟式庭球では前後衛それぞれ異なった技術を持っていますが、これは長い球史において積ひ重ねて(原文ママ)きたもので現在は非常に高度なものになっています。また別な観点より前後衛の区別をつけないでオールラウンドプレヤー(原文ママ)の組がたくさん出てきたら非常に面白いのではないでしょうか。
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前回の全日本学生インドアのものよりは、ちゃんとした文章になっていると思う(笑)。
特に、将棋やバレーボールやバスケットボールと対比させて解説している部分は、テニスという競技の本質や難しさを端的に言い表しているのではないか。


「フットワークやグリップが悪かったり、腰の位置と打球がアンバランスであってはパートナーと観衆を失望させるだけです」という部分は、もしかして自分のことを言われているのではないかとドキッとしたものだが、しかしなぜ「腰の位置」なのか? 当時の指導は現在に比べると、「腰を落とせ」とか「腰を入れろ」のように、「腰」に対する指摘がやたらと多かったのではないかと推測される。このあたり、日本のテニスの指導が柔道などの武道と同じような感覚で行われてきたことを感じさせるのである。


最後の一文で、いきなりオールラウンドプレーヤーの提案が飛び出してくるところが驚きだが、当時の人たちは、これを読んでも具体的にどういうプレーや陣形になるのか、想像もつかなかったに違いない。


その後のルール改定で、ペアが2人ともサービスを行うようになり、またダブルフォワードという陣形も出てきたことで、実際にプレーヤーのオールラウンド化はかなり進んだのだが、そのような未来を思い描いてこの文章を書いたのだとしたら、かなりの「先見の明」だったといえるのではないか。


もう一つ、この「軟式庭球の見方」の中の「審判」の項が傑作なので、併せて紹介する。


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審判

ゲームに審判は必須のものです。広い意味では審判員も準プレヤーです。審判員は規則に精通していて数回の講習会を修了した経験を持った人ばかりです。審判台上に主審、反対に副審、準決勝くらいから線審も出ます。主審のコールはサービスサイドの得点(ポイント)を先に、あとからレシーブサイドの得点をいいます。またゲーム数を同じように呼びます。
例えば2(ツー)3(スリー)とコールしましたらサービスサイドが2ゲーム、レシーブサイド3ゲーム取っているということです。
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まず、「広い意味では審判員も準プレヤーです」という部分は、審判員にもマナーや見識が求められるということを言いたかったのだろうと思うが、なぜわざわざ「準プレヤー」と言うのだろうか。「広い意味では審判員もプレヤーです」と言い切ったほうがよほど説得力があると思うのだが。


また「準決勝くらいから線審も出ます」という部分には笑った。「昼ごろから屋台も出ます」とか「女性のお客様にはデザートも出ます」みたいな(笑)あまりにゆる~い表現ではないか。なぜビシッと「準決勝以降は線審も配置されます」と言えないのか。


なお、この文中で「主審」とあるのは、言うまでもなく「正審」が正しい。大会主催者ともあろうものが基本的な用語を間違えてはいけない。


2回にわたって「軟式庭球の見方」を紹介した。
現在の大会プログラムには、このようなページはまったく見当たらない。そもそも試合というのは、ひとりひとりが自分の考え方や感性で見ればよいのであって、その「見方」を上から目線で説くという、その説教臭さが時代に合わないとして敬遠されたのかもしれないが、このような、ある意味“味のある”文章というのが、もっと現代のプログラムにもあっていいのではないかという気がしている。


<おまけ>

この東京インドアのプログラムには、以下のような広告が掲載されていた。

桂川精螺広告

これは「桂川精螺製作所」という、大田区のネジメーカーである。
当時は実業団チームも有しており、創業者であり当時の社長であった石井義昌という方は、たしか東京都連盟か日本連盟の要職に就かれていたと記憶している。


この広告の画像は、同社の社屋を描いたものだが、これに見覚えはないだろうか。

桂川精螺本社

わからないという方は、この正門からの風景をご覧いただきたい。


これはドラマ「下町ロケット」の舞台、「佃製作所」のロケ現場である。
帝国重工の財前部長が何度も訪れたシーンをご記憶の方も多いのではないか。


このように、軟式庭球(ソフトテニス)と一般社会が思わぬところでつながっているケースはときどき見受けられるのだが、そのつながりをアピールできる機会がほとんどないのがもどかしい。

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